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介護ベッドの大きな強みのひとつが、高さを電動で変えられることです。ところが「一度合わせたまま、ずっと同じ高さで使っている」というケースは少なくありません。高さは、本人が座る・立ち上がる場面と、介助する人が介助する場面とで、適した位置が違います。ここでは、場面別の高さ調整の目安と、まず確かめたいポイントを、理学療法士の視点で整理します。なお、身体の状態には個人差があるため、最終的にはケアマネジャーやリハビリ職に確認してください。
介護ベッド選びで迷っている方へ:介護ベッドの選び方|サイズ・機能・レンタルの基本

まず基本:足の裏が床につく高さを見つける
起き上がってベッドの端に腰かけた姿勢(端座位)で、足の裏全体が床につき、膝が直角に近く曲がる高さが、基本の目安です。足がぶらぶら浮いてしまうと、体を支える土台が不安定になり、立ち上がりや座位の保持が難しくなります。逆に低すぎると、膝や股関節が深く曲がって立ち上がりに力が要り、負担が増えます。
確認するときは、本人が座って足の状態を見ながら、少しずつ高さを変えてみます。スリッパや靴を履く場合は、それを履いた状態で合わせるのがコツです。
場面別・高さ調整の考え方
座る・食事をするとき
端座位が安定する高さ(足裏が床につく高さ)に合わせます。ベッド上で食事をする場合は、背上げを使うため、テーブルの高さとのバランスも見ておきます。
立ち上がるとき
座面が低いほど立ち上がりには筋力が必要になります。足の力が弱い方は、足裏が床につく範囲で、やや高めに設定すると立ち上がりやすくなることがあります。ただし高すぎると足が浮いて不安定になるため、実際に立ってもらって試すことが大切です。
ベッドから車いすへ移るとき(移乗)
一般に、ベッドから車いすへ「わずかに下る」向きの移乗のほうが楽なことがあります。そのため、車いすの座面と同じか、やや高めにベッドを合わせる方法がよく使われます。麻痺の有無や、どちら側に車いすを置くかによっても最適は変わるので、個別にリハビリ職へ確認しておくと安心です。
おむつ交換や着替えなど、寝たままの介助
ここは介助する人の体を守る高さです。ベッドが低いままだと、前かがみの姿勢が長く続き、腰への負担が大きくなります。介助する人の腰や、肘の高さ付近にベッド面が来る位置まで上げると、姿勢が楽になります。介護ベッドの高さ調整を、本人のためだけでなく「介助者の腰痛予防」として使う、という視点が大切です。
睡眠中・ひとりで過ごしているとき
寝ている間や、介助者がそばにいないときは、できるだけ低い位置にしておくのが基本です。万一ベッドから落ちたときの衝撃が小さくなります。この「いちばん低くしておく」ことが習慣になるように、介助のあとに必ず戻す約束事を、家族や介護スタッフの間で決めておきましょう。
高さを調整するときの注意点
- 操作は必ず、ベッドの周囲(足元・ベッド下・サイドレールの近く)に人や物、手足がないことを確認してから行う
- 本人がリモコンを自分で操作できる場合、意図せず高さが変わることがあります。認知機能や状態によっては、リモコンを預かる、ロックをかける、といった対応も検討する
- 高さを上げたまま眠る・目を離すのは避ける(落下時のけがが大きくなる)
- 床が滑りやすい場合は、滑り止めマットや靴の選択で、足元の安定を先に確保する
転倒・転落を防ぐための全般的な対策は 介護ベッドの転倒・事故を防ぐための安全対策 でもまとめています。
うまく合わないと感じたとき
ベッドの最低の高さが高すぎて、足がつかない・立ち上がれない、あるいは最高の高さが足りず介助が大変、というケースもあります。ベッドによって調整できる範囲は異なります。レンタルなら、機種の変更が可能な場合が多いので、福祉用具専門相談員やケアマネジャーに相談してください。契約前後の確認事項は 介護ベッドのレンタル契約で確認すべきポイント も参考になります。
介護ベッド・関連用具を探すなら
介護保険でレンタルできるのは原則要介護2以上です。対象外の方や、マットレス・サイドレール・移乗用具などをご自身で購入して揃えたい方は、楽天市場で価格やレビューを比較できます。
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【現場の視点】高さは「本人の高さ」と「介助者の高さ」を分けて考える
ベッドの高さを合わせたつもりでも、本人が立ち上がりやすい高さと、介助者が腰を守れる高さは別物です。リハビリの考え方では、端座位で足の裏がしっかり床につくことを土台に、立ち上がりや移乗といった目的ごとに調整します。ご家族には、「介助が終わったら、いちばん低い位置に戻す」というルールを、まず決めることをおすすめします。
また、高さは「高いほど楽」とは限りません。高くしすぎると足が浮いて不安定になり、立ち上がりの途中でバランスを崩す危険があります。数cm単位で調整し、実際に座る・立つ動きを確認しながら決めてください。合いにくいときは、ケアマネジャーや訪問リハビリなどのリハビリ職に相談すると、体の状態に合わせた提案が受けられます。
よくある質問
Q. 介護ベッドの高さはどのくらいが標準ですか?
A. 機種によって調整範囲は異なるため、一律の「標準」はありません。大切なのは数字ではなく、端座位で足の裏が床につくかどうか、そして介助する人が楽な姿勢で行えるかどうかです。
Q. ベッドを一番低くすると、立ち上がりにくいのですが。
A. 座面が低いと立ち上がりに力が必要になります。足の裏が床につく範囲でやや高めに調整するか、立ち上がりを補助する手すり・介助バーの導入を検討します。それでも難しい場合は、リハビリ職に相談してください。
Q. 介助する家族が腰を痛めています。何を変えればよいですか?
A. まず、介助のたびにベッドの高さを介助しやすい位置まで上げているかを見直してください。あわせて、体位変換や移乗の手順・福祉用具(スライディングシートなど)を、専門職に見てもらうのも有効です。
制度の詳細や最新の情報は、テクノエイド協会、厚生労働省「介護・高齢者福祉」などの公的機関の情報もあわせてご確認ください。
まとめ:介護ベッドの高さ調整は場面別に
介護ベッドの高さは、端座位で足の裏が床につく高さを基本に、場面ごとに変えて使うものです。立ち上がりや移乗は本人の状態に合わせ、寝たままの介助では介助者の腰を守る高さに、そして眠るときやひとりでいるときは一番低く。この使い分けを習慣にするだけで、本人の動きやすさと介助の負担が変わります。
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この記事を書いた人
脇本竜次
総合病院にて理学療法士として五年間勤務したのち、整体院を開業し七年間経営。さらに介護の現場でも三年の実務経験を持つ。保有資格は理学療法士。医療・リハビリと介護、両方の現場での経験をもとに、身体の状態に合った福祉用具選びや介護業界への転職に関する情報を発信している。運営者情報はこちら


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