介護ベッドからの起き上がり介助のコツ|端座位までの流れと介助者の腰を守る姿勢

介護士が高齢者の肩と膝を支えて起き上がりを介助するイラスト 在宅介護

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ベッドから起き上がるとき、上体を真上に引っ張り上げる介助をしていないでしょうか。この方法は、介助する人の腰への負担が大きく、本人も力が入って体がこわばりやすくなります。人の体は、いったん横向きになってから起き上がるほうが、少ない力で動かせます。ここでは、介護ベッドの機能を活かした起き上がり介助の流れと、介助者の腰を守る姿勢を解説します。体の状態(麻痺や痛みなど)によって最適な方法は変わるため、あくまで一般的な考え方としてお読みください。

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仰向けから横向き、端座位までの起き上がりの流れを示すイラスト

起き上がり介助の基本は「横向き→足を下ろす→起こす」

仰向けから、そのまま真上に体を起こそうとすると、頭や上半身の重さを一度に持ち上げることになります。横向きの姿勢を挟むと、足を下ろす動きの「重り」を使って、自然に上体が起き上がります。

起き上がり介助の流れ(5ステップ)

  1. 声をかけて説明する:「これから起きますよ」と伝えます。予告があるだけで、本人が力を入れて協力しやすくなります
  2. ベッドの高さを合わせる:介助する人の腰が曲がらない高さまで上げます。ベッド柵(サイドレール)や手すりがある場合は、手をかける位置を確認します
  3. 膝を立てて、横向きにする:両膝を軽く立てて、肩と腰を順に回して横向きにします。無理に引っ張らず、膝を倒す動きを使うと楽に回れます
  4. 足をベッドの端から下ろしながら、上体を起こす:足を下ろす動きに合わせて、肩を支えながら起き上がります。背上げ機能があれば、少し背を上げてから横向きになる方法もあります
  5. 端座位になったら、ひと呼吸おく:立ちくらみ(起立性低血圧)を起こすことがあるため、すぐに立たず、顔色やふらつきを確認してから次の動作に移ります

背上げ機能を使うメリットと注意点

電動ベッドの背上げ機能を使うと、上半身が起きた状態から起き上がりを始められるため、力の弱い方でも負担が軽くなります。ただし、背上げをするとお尻のほうに体がずれたり、背中や腰が引っ張られたりする「ずれ」が起きることがあります。背上げをした後に、体をベッドの上方へ整えたり、背中とマットレスの間の圧を抜く(背抜き)と、皮膚への負担を減らせます。電動リクライニングの使い方の注意点は 介護ベッドの電動リクライニング機能の正しい使い方と注意点 に詳しくまとめています。

介助する人の腰を守る3つの姿勢

  • 足を前後(または左右)に開き、重心を低くする:腰を曲げずに、膝を使って体重移動をします
  • 本人に体を近づける:離れたまま腕で持ち上げず、体を寄せて、自分の体の中心で支えます
  • ベッドの高さを合わせる:前かがみになる高さは、腰痛の大きな原因です。高さ調整の考え方は 介護ベッドの高さ調整の目安|立ち上がり・座る・介助の場面別に変える を参照してください

麻痺や痛みがある場合の注意

片麻痺(半身の麻痺)がある方は、麻痺側を無理に引っ張ると、肩などを痛める危険があります。どちら向きに寝返り、どちら側から降りるかは、状態によって変わります。また、骨折後や強い痛みがある場合は、動かし方に制限がかかることもあります。リハビリ職(理学療法士・作業療法士)やケアマネジャーに、その方に合った方法を実際に見てもらって教わるのが、いちばん安全です。

起き上がりが難しくなってきたときの選択肢

  • サイドレールや介助バー(ベッド用手すり)を取り付けて、本人が自分で起き上がる力を引き出す
  • 電動ベッドの機能(背上げ・高さ調整)を活用する
  • 福祉用具(スライディングシート・スライディングボードなど)を使って、摩擦を減らす
  • 訪問リハビリや通所リハビリで、起き上がり動作そのものの練習をする

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【現場の視点】「引っ張り上げる」介助が、いちばん負担が大きい

起き上がり介助で最も避けたいのは、本人の腕や肩を持って真上に引き上げることです。介助者の腰に大きな負担がかかるうえ、本人の肩や腕を痛めるおそれがあり、「引っ張られる」こと自体が体を緊張させます。理学療法士の視点では、寝返り→足を下ろす→上体を起こす、という体の自然な動きに沿って、必要な部分だけを支えるのが基本です。

介助する側は、力で持ち上げるのではなく、体重移動と姿勢で動かすことを意識してください。ベッドの高さ、介助者の足の位置、本人への声かけ。この3点を整えるだけで、必要な力は大きく変わります。麻痺や痛みがある方は最適な方法が個別に変わりますので、一度リハビリ職に、実際の動きを見てもらって教わることをおすすめします。

よくある質問

Q. 起き上がるときにふらつくのですが、大丈夫ですか?

A. 起き上がった直後は、血圧が下がって立ちくらみを起こすことがあります。端座位でしばらく休み、ふらつきが続く場合や、頻繁に起こる場合は、主治医に相談してください。

Q. 本人が起き上がるのを嫌がるときは?

A. 無理に起こさず、理由を確かめます。痛みや不安、寒さ、疲れなどが背景にあることも多く、声のかけ方や時間帯を変えるだけで変わることもあります。

Q. サイドレールがあれば、ひとりで起き上がれますか?

A. 状態によります。サイドレールを持って自分で起き上がる方もいますが、手すりを利用する動きが難しい方や、認知症で使い方が分かりにくい方には向かない場合もあります。導入前に、専門職に使い方を確認してください。

制度の詳細や最新の情報は、厚生労働省「介護・高齢者福祉」、テクノエイド協会などの公的機関の情報もあわせてご確認ください。

まとめ:介護ベッドでの起き上がり介助のコツ

起き上がり介助は、真上に引き上げるのではなく、「膝を立てて横向き→足を下ろしながら起こす」流れで行うと、少ない力で安全に行えます。背上げ機能や高さ調整、サイドレールなど介護ベッドの機能を活用し、介助する人の腰を守る姿勢と組み合わせてください。麻痺や痛みがある場合は、必ず専門職に方法を確認しましょう。

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この記事を書いた人

脇本竜次
総合病院にて理学療法士として五年間勤務したのち、整体院を開業し七年間経営。さらに介護の現場でも三年の実務経験を持つ。保有資格は理学療法士。医療・リハビリと介護、両方の現場での経験をもとに、身体の状態に合った福祉用具選びや介護業界への転職に関する情報を発信している。運営者情報はこちら

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