ポータブルトイレの選び方|種類・費用と、介護保険(特定福祉用具購入)の使い方

ベッドのそばにポータブルトイレが置かれた寝室のイラスト 在宅介護

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夜間のトイレが心配になってきた、トイレまで歩くのが難しくなってきた。そんなとき、在宅介護で候補に上がるのがポータブルトイレです。ベッドのそばに置けるため、移動の負担や転倒のリスクを減らせます。一方で、種類や置き場所を誤ると、使われないまま部屋の隅にしまわれてしまうことも少なくありません。ここでは、ポータブルトイレの種類と選び方、そして介護保険で購入するときの流れを解説します。

介護士がベッドからポータブルトイレへの移乗を介助するイラスト

ポータブルトイレが必要になる場面

  • 夜間のトイレ移動で、ふらつきや転倒の心配がある
  • トイレまでの距離が長く、間に合わないことがある
  • トイレの段差や狭さで、介助が難しい
  • 退院直後など、体力が落ちている時期に負担を減らしたい

ただし、ポータブルトイレは「トイレに行けなくなった人のための最終手段」ではありません。ベッドのそばで排泄できれば、トイレの回数や我慢による体調不良を減らし、生活のリズムを保つことにもつながります。トイレまで行ける状態でも、夜間だけ使う、という使い方もあります。

ポータブルトイレの主な種類

  • 標準型(プラスチック製):軽くて掃除がしやすく、価格も比較的手ごろ。最もよく選ばれるタイプです
  • 家具調(木製など):椅子や家具のように見える外観で、部屋になじみます。介護用品に見られたくない、という気持ちに配慮したい場合に選択肢になります
  • 水洗式:排泄物を専用のタンクに流して処理するタイプ。においや後始末の負担を減らしたい場合に向きます。設置や水の補充など、日常の手間も確認しておきます
  • 機能付き:暖房便座、脱臭機能などが付いたタイプ。寒い季節や、においが気になる場合の選択肢です

選ぶときにチェックしたい5つのポイント

  1. 座面の高さ:ベッドの端座位で足が床につき、立ち上がりやすい高さか。高さを調整できるタイプもあります
  2. 肘掛け・背もたれ:体を支えられるか。肘掛けが跳ね上がるタイプは、ベッドから乗り移りやすいことがあります
  3. 安定性・耐荷重:体重に対して十分か。立ち座りのときにぐらつかないかを確認します
  4. 置き場所:ベッドの横に置いたときの、通路の余白、乗り移りのしやすさ、介助スペース
  5. 後始末のしやすさ:バケツの取り外しや洗浄のしやすさ。介助する家族の負担が大きく変わります

ベッドとの位置関係は、高さ調整や移乗の方法とも関わります。ベッドの高さの考え方は 介護ベッドの高さ調整の目安|立ち上がり・座る・介助の場面別に変える をご覧ください。

置き場所の工夫

ベッドから立ち上がって数歩で座れる位置が基本です。本人が動きやすい側(麻痺がある場合は麻痺の側と反対など)に置くのが一般的ですが、状態によって最適な位置は変わります。介助が必要な場合は、介助者が立てる余白も確保しましょう。夜間に使う場合は、足元の照明や滑りにくい床も安全性を大きく左右します。

介護保険で買える:特定福祉用具購入

ポータブルトイレ(腰掛便座)は、介護保険の「特定福祉用具購入」の対象です。レンタルではなく購入する福祉用具で、排泄や入浴など、肌に直接触れて再利用に向かないものが対象になっています。

  • 対象は要支援・要介護の認定を受けている方
  • 支給限度額は年間(4月〜翌年3月)で10万円。自己負担は所得に応じて1〜3割
  • 購入は、都道府県などの指定を受けた事業者から行う必要がある
  • 原則として、いったん全額を支払い、後から市区町村に申請して払い戻しを受ける(償還払い)。自治体によっては、自己負担分のみの支払いで済む方法もある

購入前に、必ずケアマネジャーに相談してください。事前に必要な書類や、対象になる製品かどうかを確認できます。ベッドの購入補助については 介護ベッドは購入補助金の対象?特定福祉用具購入費で使えるもの・使えないもの も参考になります。

使われなくなるのを防ぐために

  • 本人が「使いたい」と思える見た目・座り心地か(嫌がる場合は、家具調など見た目を変える)
  • 導入の前に、羞恥心や不安の気持ちをよく聞く
  • 介助する側が、においや掃除の負担を減らせる方法(消臭剤、凝固剤、水洗式など)を選ぶ

【現場の視点】トイレの問題は「排泄そのもの」より「動作のつながり」

ポータブルトイレを考えるとき、注目したいのは本体の性能より、ベッドから立ち上がる、向きを変える、座る、立ち上がって戻る、という一連の動作がスムーズにつながるかどうかです。座面が低すぎる、置き場所が遠い、肘掛けがない、といった小さな不都合が、夜間のふらつきや転倒につながります。理学療法士の視点では、この動作の連続を、一度実際に通して確認することを大切にします。

また、本人が「使いたくない」と感じている場合は、羞恥心や不安が背景にあることが多いものです。見た目を家具調にする、使わないときは目立たない場所に置く、においに配慮するなど、気持ちに寄り添う工夫が、実際に使われるかどうかを左右します。購入前にケアマネジャーや福祉用具専門相談員と、置き場所と動線を確認してください。

よくある質問

Q. ポータブルトイレは介護保険でレンタルできますか?

A. 排泄に使うポータブルトイレは、衛生面の理由から、レンタルではなく「特定福祉用具購入」の対象になっています。購入前にケアマネジャーに相談してください。

Q. においが気になります。どうすればよいですか?

A. 使用後は早めに処理し、専用の消臭剤や凝固剤を活用します。水洗式や脱臭機能付きのタイプを選ぶ方法もあります。部屋の換気や、置き場所の見直しも効果があります。

Q. 夜間だけの使用でも、対象になりますか?

A. 使用の頻度にかかわらず、要介護認定を受けていて、ケアマネジャーが必要と判断すれば、特定福祉用具購入の対象になります。詳しくは、担当のケアマネジャーにお尋ねください。

制度の詳細や最新の情報は、厚生労働省「介護・高齢者福祉」、WAM NET(福祉医療機構)などの公的機関の情報もあわせてご確認ください。

まとめ:ポータブルトイレの選び方

ポータブルトイレは、標準型・家具調・水洗式など種類があり、座面の高さ・肘掛け・安定性・置き場所・後始末のしやすさの5点で選びます。介護保険の特定福祉用具購入で、年間10万円までの購入費用のうち1〜3割の自己負担で使えます。導入前にケアマネジャーへ相談し、本人が使いたくなる形で取り入れることが、在宅での排泄を支える近道です。

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この記事を書いた人

脇本竜次
総合病院にて理学療法士として五年間勤務したのち、整体院を開業し七年間経営。さらに介護の現場でも三年の実務経験を持つ。保有資格は理学療法士。医療・リハビリと介護、両方の現場での経験をもとに、身体の状態に合った福祉用具選びや介護業界への転職に関する情報を発信している。運営者情報はこちら

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