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要介護認定を申請すると、市区町村の職員などが自宅を訪問して「認定調査」を行います。本人と家族にとっては、その結果がその後の介護サービスの量を大きく左右する、大切な場面です。ところが、「いつもよりしっかりして見えた」「遠慮して、できないことを言えなかった」という理由で、実際の状態より軽く判定されてしまうことがあります。ここでは、認定調査で聞かれること、当日の流れ、そして家族が事前に準備しておきたいことを整理します。

認定調査とは?要介護認定の全体の流れ
要介護認定は、次のような流れで進みます。
- 市区町村の窓口(または地域包括支援センターなど)で申請する
- 認定調査員が自宅などを訪問し、心身の状態を調べる(認定調査)
- 主治医が「主治医意見書」を作成する
- コンピュータによる一次判定と、介護認定審査会による二次判定が行われる
- 結果(要支援1・2、要介護1〜5、非該当)が通知される
申請から結果の通知までは、原則として30日以内とされています(実際には状況により前後します)。認定調査は、この流れのなかで本人の状態を直接確認できる、貴重な機会です。
認定調査で聞かれること
認定調査では、全国共通の調査票に沿って、「基本調査」(全国共通の74項目)を確認し、そのほかの気づきを「特記事項」に記録します。基本調査は、おおまかに次のような分野です。
- 身体機能・起居動作:麻痺や関節の動き、寝返り、起き上がり、座る、立ち上がる、歩く、片足で立つなど
- 生活機能:移乗、移動、えん下(飲み込み)、食事、排尿・排便、口腔清潔、洗顔、整髪、上着やズボンの着脱など
- 認知機能:意思の伝達、生年月日や今の季節を答えられるか、短期記憶、場所の理解など
- 精神・行動障害:被害的になる、作り話をする、感情が不安定、昼夜逆転、同じ話をする、外に出たがる、物を壊す、介護への抵抗など
- 社会生活への適応:薬の管理、金銭の管理、日常の意思決定、集団への不適応、買い物、簡単な調理など
- 過去14日間に受けた医療・特別な処置:点滴、透析、酸素療法、褥瘡の処置など
こうした項目を、本人への質問、調査員による動作の確認(立って、歩いてもらうなど)、家族からの聞き取りで確認していきます。
認定調査で「実際より良く見せてしまう」よくある理由
- 調査員の前では、緊張して普段より頑張ってしまう(いつもは立てない人が立つ、など)
- 本人が「大丈夫です」と答えてしまう。周りに迷惑をかけたくない、または自分ができなくなったことを認めたくない
- 調査当日が、たまたま体調のよい日だった
- 家族が、本人の前では、普段の困りごとを話しにくい
「普段の状態」を伝えることが、調査の目的です。頑張った姿ではなく、日々の生活のなかでの実際の困りごとを、遠慮せずに伝えてください。
家族が事前に準備しておきたいこと
- 困りごとメモ:ここ数か月の、できなくなったこと、失敗したこと、転倒・ヒヤリとしたこと、夜間の様子などを日付付きで書き出しておく
- 1日の生活の流れ:食事、排泄、入浴、就寝までの間、どこで・どんな介助が必要かを整理する
- 医療情報:病名、通院・服薬の状況、入院歴、主治医の名前と連絡先
- 介護サービスの利用状況:すでに利用しているサービスがあれば、内容と回数
- 同席する家族を決める:普段の様子をよく知る家族が同席する。本人が答えにくいことを、別の場所や書面で伝えられるようにしておく
当日の伝え方のコツ
- 「できる」「できない」の二択ではなく、「時間がかかる」「見守りが必要」「声かけがないとできない」など、具体的に伝える
- 頻度や状況も添える(「週に2回はトイレに間に合わない」「夜中に何度も起きて歩き回る」など)
- 本人の前で言いにくいことは、メモを渡して調査員に伝える
- 調査員が確認した内容と、実際の状態に食い違いがあれば、その場で補足する
結果に納得できないときは
認定結果に不服がある場合は、通知を受け取った日の翌日から3か月以内に、都道府県の介護保険審査会に審査請求ができます。また、状態が変わった場合には、有効期間の途中でも区分変更申請ができます。まずはケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してください。
認定がおりたあと、在宅で介護ベッドなどを使う場合の制度は 介護ベッドは介護保険でレンタルできる?適用条件・自己負担額・手続きの流れを解説 で解説しています。
【現場の視点】「できる動作」ではなく「どのようにできているか」を伝える
認定調査で家族が迷いやすいのが、「一応できる」動作をどう伝えるかです。理学療法士の視点では、動作を評価するとき、できるかどうかだけでなく、「時間がかかっていないか」「ふらつかないか」「見守りや声かけが必要か」「痛みや疲れは出ないか」を見ます。調査でも、この「どのようにできているか」を具体的に伝えることが、実際の状態を正確に届けるポイントです。
調査当日は、緊張して普段以上に頑張れてしまう方が少なくありません。事前に、日常のなかで手助けしている場面(立ち上がり、入浴、トイレ、夜間の様子)を書き出し、頻度とあわせて伝えてください。本人の前で話しづらいことは、メモにして調査員に渡すのも一つの方法です。良く見せる必要も、大げさに言う必要もなく、普段のままを伝えることが目的です。
よくある質問
Q. 認定調査は誰が行いますか?
A. 主に市区町村の職員、または市区町村から委託を受けたケアマネジャーなどの調査員が行います。自宅や入院・入所している施設に訪問して実施します。
Q. 認定調査の当日に本人の体調が悪いときは?
A. 体調が悪いときは、日程の変更を相談してください。ただし、体調のよい日・悪い日の差が大きいことも普段の状態のひとつですので、その様子も含めて調査員に伝えることが大切です。
Q. 認定結果はいつまで有効ですか?
A. 新規の場合、有効期間は原則6か月(状態によって3〜12か月の範囲)です。更新の場合は原則12か月ですが、状態により延びることがあります。有効期間が切れる前に、更新の申請が必要です。
制度の詳細や最新の情報は、厚生労働省「介護・高齢者福祉」、WAM NET(福祉医療機構)などの公的機関の情報もあわせてご確認ください。
まとめ
認定調査は、要介護認定のなかで本人の状態を直接確認する大切な機会です。基本調査の項目は、身体機能・生活機能・認知機能・行動・社会生活など多岐にわたります。普段の状態を正しく伝えるために、事前に困りごとメモや1日の流れをまとめ、遠慮せずに具体的に伝えてください。結果に納得できないときは、審査請求や区分変更申請という道もあります。
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この記事を書いた人
脇本竜次
総合病院にて理学療法士として五年間勤務したのち、整体院を開業し七年間経営。さらに介護の現場でも三年の実務経験を持つ。保有資格は理学療法士。医療・リハビリと介護、両方の現場での経験をもとに、身体の状態に合った福祉用具選びや介護業界への転職に関する情報を発信している。運営者情報はこちら


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